<体育大学体操部のお仕置き>
第1章 東都体育大学体操部
東都体育大学は、オリンピック出場選手育成を第一目的とするスポーツ専門大学で
す。今までに体操、陸上、水泳、球技、柔道、レスリング、スキー、スケートなど主な
オリンピック競技種目に多数の選手を送り出しています。
大学の授業は、平日の午前中に必修科目の講義が行なわれ、午後は各人の専門
競技種目の部活動が行なわれます。また、土曜・日曜は大学としては休みですが、
ほとんどの部で練習・試合の日程が組まれ、学生は休みなしで連日自分の専門競技
に没頭することになります。
久美子は、小学生の頃から“天才体操少女”という評判で、高校1年、2年、3年と
インターハイはもちろんのこと大学生・社会人を含めた全日本選手権でも3年連続
優勝を達成しました。
そして、昨年の世界選手権総合では金メダルの最有力候補として、世界中から
注目される存在となっていました。現実に 跳馬・床・段違い平行棒の3種目を終わ
ったところではトップ、残る平均台の演技で落下さえしなければ金メダル確実でした
が、極度の緊張とプレッシャーのせいで平常心を失い、平均台から落下してしまい
残念ながらメダル圏外の4位という結果に終わりました。
久美子は、昨年の世界選手権の無念を晴らすべく今年夏に行なわれるオリンピック
で必ず金メダルを取るという決意で、東都体育大学の体操部に入部しました。
東都体育大学体操部は、男子部員12名(各学年3名)と女子部員8名(各学年2名)
の少数精鋭の定員制です。体操部には体操専門の体育館があり、そこには男子用の
鉄棒・平行棒・つり輪・あん馬・跳馬・床の6種目、女子用の平均台・段違い平行棒・
跳馬・床の4種目、合計10種目の設備がそれぞれ2セットずつ常設されています。
つまり、男子部員12名と女子部員8名が全員同時に練習できるという素晴らしい
練習環境を整えているのです。
また、東都体育大学体操部には2人のコーチがいます。一人は塚原茂コーチで
5年前から男子部員を指導しています。もう1人は今年から女子部員を指導することに
なった若林育子コーチです。
若林育子コーチは、昨年までルーマニアの体操クラブのヘッドコーチを務め、数多く
のメダリストを育て、今や世界体操界で3本の指に入る名コーチという評判ですが、
母国日本で日本人メダリストを育てたいという本人の強い希望で、今年から東都体育
大学体操部の女子担当コーチに就任しました。
4月になり、体育館では東都体育大学体操部の練習が始まりました。白いランニング
シャツと白いトレパンに身を包んだ男子部員12名は、塚原コーチのもと早速、鉄棒・
平行棒・つり輪・あん馬・跳馬・床の実技練習に入りました。
一方、白いレオタードに膝まで隠れる黒いハーフパンツを履いた女子部員8名は、
若林コーチの指示でランニング、うさぎ跳び、腕立て伏せ、柔軟運動、メンタルトレー
ニング講義の繰り返しが10日間続き、その間一度も実技練習をすることはありません
でした。