第2章 練習終了後のお仕置き

 体操の実技練習をさせてもらえない日が10日間も続き、その日の練習終了の挨拶
の時にたまりかねた久美子が若林コーチに質問しました。
「コーチ、どうして10日間も実技練習をさせてもらえないのですか?私はオリンピック
で金メダルを取るために、東都体育大学体操部に入ったんです。初心者の小学生
ではないんですから、基礎練習ばっかりやらせないでください。」

 若林コーチは答えました。
「久美子さん、貴女は昨年の世界選手権総合最後の種目の平均台で落下して
金メダルを取り逃がした理由がまだわかってないようね。世界の強豪相手にメダリスト
になるには、基礎体力とプレッシャーに負けない精神的強さが必要なの。
 まあいいわ、貴女がそこまで言うならこうしましょう。これから、久美子さんに平均台
の演技をしてもらいます。一度も落下することなく無事に平均台の演技をこなしたら、
久美子さんの望みどおり明日から実技練習に入ります。ただし、一度でも落下したら
久美子さんには罰として“お仕置き”を受けてもらいます。いいわね。」

 久美子は、「絶対に平均台から落下なんてしないから、お仕置きなんて関係ない
わ。」と言うと平均台の演技を始めました。久美子にとっては久しぶりの平均台でした
が、臆することなくのびのびと世界トップクラスの演技を披露し、若林コーチ・女子部
員7名はもちろん、練習を終えたばかりの塚原コーチ・男子部員12名も久美子の
完璧な美しい演技にうっとり見とれていました。
 そして、久美子が演技最大のヤマ場である“連続宙返り”も無難にこなしホッと
一安心、『私の勝ちよ。』という誇らしげな顔を若林コーチの方に向けた瞬間に事態
は一変しました。なんと久美子がバランスを崩して最後の最後で平均台から落下
してしまったのでした。

 若林コーチは、久美子が平均台から落下したのを見届けると、体育館のコーチ
控室に行き、長さ1メートルのケインを持ってすぐ戻ってきました。そして、しゃがみ
こんだままの久美子に向かって言いました。
「さあ久美子さん、約束どおりお仕置きするから立ちなさい!」
 立ち上がった久美子は、「お仕置きって何するんですか?」と恐る恐る聞き返しま
した。
「お尻叩きのお仕置きです。私がルーマニアの体操クラブで聞き分けのない小学生
を教えた時には、このケインでお尻を鞭打ってスパルタ指導したのよ。日本に戻って
教えるのは大学生だからもうケインを使うことはないと思っていたけど、久美子さん
にはケインによる厳しいお仕置きが必要のようね。それではこれからお尻への鞭打ち
6発のお仕置きを行ないます。いいわね。」と若林コーチが言うと、右手に持った
ケインを軽く素振りしました。『ヒューッ!』と空気を切る乾いた音と共にケインがしなり
ました。

前のページへ戻る次のページへ進む目次へ」「ホームへ戻る